ジジよりキキへ

 キキがいないの、ちょっと変だよ。いつも頭の上でふらふらしている スカートが見えないなんて、からだが すこすこしちゃうよ。でも夕べ地下猫組織のあつまりがあったんだ。ぼくはそこで「ズボン船長さんの話」の中に登場しているフィフィっていう年寄りの猫にあったんだ。ずっと前船長さんと八つ目の海に消えたはずなんだけど、猫は七度生き返るっていうでしょ。だから戻ってきたんだって。その猫はじーっとすわってるだけなんだけど、長いこと海に当たってたせいか、しおがら声っていうのかな、「にゃーん」っていうのが「からーい」って聞こえたりするんだよ。それに物語にも書かれているように、もとはある船長さんの黒いラシャのコートだったでしょ。目は金ボタンで。そのせいか目があまり動かなくって、じーっと見つめるの。そしていったんだ。
 「おまえさーん おなじ作家から生まれた仲なんだから、よろしくたのむよ。なんだったら八つ目の海の航海の話なんざ、してやってもいいよ」っていうんだよ。キキは 興味ある?ぼくはあるな。それっきり、その猫、だまっちゃったんだけど、これからときどき聞き出してみるね。じゃ、また。  旅の無事を祈っているよ。       

ジジより
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